『重い障害を生きるということ』(髙谷清)
障害のある子どもを育てていると、あっという間に時間が過ぎ、とても疲れた日々が過ぎていきます。
将来の不安をぬぐえなく、「これでいいのか」と不安にかられることも少なくありません。
私は最重度の知的障害と難治性てんかん、自閉症をもつ双子の父親です。
心が少し疲れたときに出会ったのが、この本でした。
今回紹介する本
📘 書籍名:重い障害を生きるということ
✍️ 著者:髙谷 清(たかや きよし)
この本は、重い障害を持つ人たちの「生きる意味」や「社会との関わり方」を、医師という立場のもとで当事者に寄り添いながら深く掘り下げた一冊です。
重い障害を持った人と45年以上も共に戦った著者による、静かだけど強い力を持った本だと感じました。
読んでよかった理由
何より心に響いたのは、
**「生きていること自体が快適である状態が大切だ」**という視点でした。
医療や支援の技術だけではなく、本人が「気持ちよくいられる」「安心できる」環境こそが本質なのだと教えてくれました。
印象的だった一節 「人類戦士」
この本の中には、「障害をもった人は“人類戦士”である」という表現があります。
ネタバレになるのでこれ以上は言いませんが、私は双子の姉妹を見ると、時々この「人類戦士」という言葉を思い出します。
正直に言えば、育児は理不尽なことの連続で、かわいそうに思ったり、つらく当たってしまったり、悲しみや自己嫌悪を抱える日々です。
でもこの言葉が、私の心の支えになっています。
決して大げさではありません。
身近に障害のある方がいる方には、ぜひ40ページのこの部分を読んでほしい。
きっと、あなたの中にも何かが残ると思います。
最後にこの本を読んでみて
我が子にも、「気持ちよく生きていていいんだよ」と伝えたい。
支援は「できるようにさせること」だけではなく、存在そのものを認めることなんだと、この本は優しく教えてくれます。
巻末のあとがきには、著者のこんな言葉がありました。
「言葉にできない何かがあった。それを、わたしのこころに少しずつ深く沈み込んでいったものとして、ようやく書き記す機会を得た。」
この一文に、著者が人生をかけて障害者と向き合ってきた誠実さを感じました。
こんな人におすすめ
- 重度の障害をもつ子どもを育てている親御さん
- 障害福祉に関わるすべての支援者
- 「障害のある人の人生」を深く理解したいすべての方
- 気持ちが沈みがちなとき、静かに心に寄り添ってくれる本を探している人
🇬🇧 English Translation
Recommended Book #1
“What It Means to Live with Severe Disabilities” by Kiyoshi Takaya
When raising children with severe disabilities, time flies by in exhaustion.
As a father of twin daughters with profound intellectual disabilities, epilepsy, and autism, I sometimes find myself overwhelmed and questioning: “Am I doing okay?”
This book helped me regain perspective.
“They are warriors of humanity.”
This phrase appears in the book and has become a source of strength for me.
Raising children with disabilities can be painful and emotionally draining.
But this idea—that simply existing in this world can itself be an act of strength—has stayed with me.
To all those living alongside someone with severe disabilities:
Please read page 40.